NHKスペシャル「あなたの家が危ない~熊本地震からの警告~」を見ました。
内容は、木造の戸建て住宅と高層マンション、異なる2つの建物を取り上げ、
築10年未満の新耐震基準を満たした住宅や、免振装置を取り入れた高層マンションが、なぜ破壊、倒壊したのか?
専門家の検証結果や意見、国土交通省の見解、被害に遭われた人たちの声などを通して、
現在の新耐震基準であっても、決して安全ではないと警告をしています。
NHK
http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586856/index.html
2016年熊本地震 現地調査写真レポート
http://www.bo-sai.co.jp/kumamotojisin.html
分かりやすく言うと、
『築10年以内の倒れた建物を検証してみると、建築基準法は守られているが直下率(1階と2階の壁の位置が悪い建物)が悪くて倒壊したことがわかった。
そこで国土交通省に、「今の建築基準法のままでいいのか?」聞くと、
「倒壊した建物の数が少なくて検証できないから、建築基準法を改定するつもりはない」との回答。
これから家を建てられる人は、今の建築基準法をクリアした建物であっても安心してはいけない。
建築業者の中には、デザインや価格の追求ばかりで、最低限の建築基準法をクリアしただけの建物があるからだ。
依頼する会社選びには慎重になってください。警告します。』
っといった感じです。
先日、『建物の安全性や快適性、素材が人に与える影響など』の研修に行ったのですが、
そこでも、熊本地震での現地調査結果を基にした『免振や直下率』について話が出ました。
TVでは出てきませんでしたが、国が推し進めている『長期優良住宅』の建物も倒壊しております。
これは、私たちにとっては当たり前の話で、長期優良住宅であっても通常の耐力壁(+0.3倍)さえ確保出来ていれば取得出来るので、関係ありません。
京都大学の現地調査団の発表では、熊本地震のように震源地付近での震度7クラスの連続した地震であっても、
現在の建築基準法の1.5倍の耐力壁が確保された建物では、倒壊に至らなかったと結論づけています。
もちろん、そのほかにも建物のねじれを防ぐための床面剛性や基礎から建物の引き抜きを防ぐための引き抜き強度、
屋根や2階の揺れを逃がし、筋交いや接合金物の破壊を防ぐ対策、地盤そのものの対策など、様々な必要な要素はあります。
余談ですが、鎌倉の大仏の下にはステンレスの板が敷かれているってご存知ですか?
昭和の大改修(昭和33年から36年)の時に、今後起こりうる大地震に備え、減震という対策が取られています。
地震が発生した際に、滑らせることで揺れを減らす考え方です。
50年以上前の改修工事ですので単純そうな考え方に思えますが、間違いのない効果が発揮されております。
以前にもブログで書きましたが、
広島の原爆投下の際や3・11東北震災の津波においても、鳥居は倒壊しなかったそうです。
では、この鳥居はなぜ倒れなかったのかというと、
鳥居の柱脚は、その「沓石」という石の穴に載せてあるだけで、自由に動く状態なのですが、
地震で地面が揺れたり、爆風で横から強い力を受けても、沓石の上の柱脚は揺れの力を逃がすことで伝わらず、
究極の免振構造となって倒れないのです。
それに対して、茨城県の笠間稲荷神社で鳥居を新設した際には
ゼネコンの若い設計者が、古くからの石屋さんの忠告を聞かずに足下を固定してしまったそうです。
答えは予測できると思いますが、3.11の震災のときに鳥居は、下から四分の一の所から45度の角度で見事に完全倒壊したそうです。
Frankaで建てさせていただく建物は、耐力壁1.5倍以上、偏心率を0.15以下(現在の建築基準法では0.3以下)を目安に設計しております。
住宅というのは、命を守るためのもので、奪うものではありません。大切な家族が安心して暮らせる建物を提供することは、私たちの使命です。
franka…