鹿児島から戻り、翌々日には新橋にいた。
正直、鹿児島だろうが東京だろうが街の景色なんてそれほど変わるものではない。
そんなことを考えながら歩くのは、飛行機や新幹線に矢継ぎ早に乗ることが贅沢をしていると感じずにはいられない、自分への言い訳からである。
公務員家庭ではあったが両親が苦労している姿を見て育ったせいもあり、年を重ねてもやはり特別な乗り物だという幼少期の意識の名残もあるからだ。
そして色川武大同様に、贅沢することで運を消費しているのではないか?という固定観念があるため、
何か身近で不幸なことが起こらないようにと願掛けにも似た『自分なりの我慢を何かしなくては!』とあれこれ考えるのである。
新橋からは駒形さんの車に乗り込み、つくば市の里山住宅博に向かった。
最新技術を駆使した住宅展示場での検証、体感することが目的だ。
室内に入るとすぐに、この上ない快適な環境だと実感した。
もちろんそれだけではない。
この展示場には、技術革新によるコストを抑えた耐震技術や設備機器などが採用されている。
僕たちはどうしたら『少しでも手の届く価格』で『永く存続する建物』が造れるのか?と、日々取り組んでいる。
他の経営者や時代の風潮からすると『戯言』として罵られるかもしれないが、今までもこれからも変わりなく真剣であり挑戦し続けるのだ。