前回のblogで尺貫法の広さや長さについて書いたのですが、住宅会社によってはメートルモジュールを使用している会社もありますよね。
尺貫法の畳の長さが3尺(910)×6尺(1820)
に対して
メートルモジュールの畳の長さは1m(1000)×2m(2000)となります。
メートルモジュールのメリットは、なんといっても扉や階段、廊下の幅が広くなること。
そしてトイレやお風呂などのミニマムな空間も広くなりますので、バリアフリー基準に最適だと言われています。
また、国際基準(メートル法)となるサイズですので、今後、普及していくものの一つとして15年以上前からハウスメーカーなどがいち早く取り入れてきました。
デメリットとしては、同じ間取りの家でも約2割ほど面積が大きくなること。家が大きくなれば、その分、金額も増えてしまいます。
では、どちらがいいのか?
その答えは、尺モジュール。
デメリットとして書いた面積が増えることで金額も増えることが一番の理由なのですが、それだけでは現場を知らない人の話。
あまり皆さん気づかないんだけど、メートルモジュールって、面積が広がっても柱の本数って増えないんですよね。
尺モジュールは約90cmごとに柱があるのですが、メートルだと1mごとでしょ?
どっちがいいかって、間違いなく柱は多い方がいいに決まってます。
他にも、階段は転落事故が交通事故より多く、家の中で最も危険な場所ですが、
横幅が問題ではなく、角度が問題だってわかりますよね。
扉だって、引き戸だったらいいんだけど、横幅の広いドアは動く範囲が広くなるだけで、それほどメリットはありません。
廊下だって、実際に家の中で車椅子を使われる方は別として、しっかり手摺りを付けて、距離の短い間取りにしてあげたほうがよっぽど助かるそうですから。
また、尺モジュールは柱を約15cmごとに広げられるので、90cmを105cmにすることが出来ます。
対してメートルモジュールは25cmごとだから、細かな融通が利かないんです。
けっしてメートルモジュールを採用しているハウスメーカーさんの悪口言っているわけではないですよ。
ハウスメーカーというのは、柱が少なくてもしっかりと構造計算された建物を造ってますので。
ただ、根拠もなくメートルモジュールにしただけの建物だったら、尺モジュールにしたほうがいいって話です。
話が逸れますが、
以前に若い設計士の方が、『ハウスメーカーは展示場や人件費の経費がかかるから高いんだ』と言ってたのですが、そうじゃないんですよね。
だって、『設計事務所で家を建てたら、建売のような金額で家が出来るのか?』って話ですから。
逆を考えると『ハウスメーカーのおかげで設計事務所の金額が成り立っている』ということです。
だから、芯をとらえていないというか・・・
こんな話もありました。
ある工務店で打ち合わせをしていたお客様が、鉄骨系の大手ハウスメーカーの外壁材を気に入ってしまい、ご契約に至らなかったそうです。
しかも金額は1000万円近く工務店さんの方が安かったとのこと。
この話を聞いて、デザインや企業ブランドを気に入ったのならともかく、外壁だけの違いだとしたら、
『ああ、この工務店の社長はお客さんのほうを見てないんだな』と思ったわけです。
だって、鉄骨で家を造ったら、夏は暑くて、冬は寒いに決まってますよね。だからそのハウスメーカーが外壁に力を入れることは必要不可欠なことなんです。
木造の場合はそこまでの必要性はないわけですし、必要とあれば、それ以上の快適性やメンテナンス性を考えることだって出来たはずです。
何よりも1000万円近く費用を抑えることが出来るのであれば、お客様にとっては大きなメリットであったに違いありません。
また話は変わって、
トップの画像は3年前にお引渡ししたお客様宅へ、所有する賃貸マンションの改装工事のご相談に伺った時のものですが、
そこで凄く驚かされたことがありました。
そのマンションというは20年前に建てられたもので、全面にタイルが貼ってあり、今見ても、とても綺麗なマンションです。
間取りの変更や使用する建材、金額などについて打ち合わせをしておりましたら、
なんと、、、その建物を解体する時期や解体費用、相続税などの計画が、すでにされているのです!
もう、ビックリですよ!!!
でも、話がこれだけだったら、自分の跡を継ぐ家族のことを考えて準備周到という話になるのですが、
話を掘り下げてお伺いすると、自分たちの都合の良い状態だけがけっして理想では無く、
客観的に、『地域の人から見て、こうなると理想的だよね。』というイメージというか、シナリオが出来ているんです。
どんな哲学の話よりも、全身に浴びせ、日ごろから心がけたいお話でした。
そして、ものごとの本質をとらえ、年を重ねるほど謙虚であり続ける必要性を、改めて感じさせていただきました。
Franka…
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